1. ほうじ茶よもやま話
  2. ほうじ茶
  3. 【道具別に解説】専門家が教える香り豊かな美味しいほうじ茶の作り方。焙煎方法やアレンジレシピも解説しています。

【道具別に解説】専門家が教える香り豊かな美味しいほうじ茶の作り方。焙煎方法やアレンジレシピも解説しています。

ほうじ茶ってどのように作られているのか知っていますか?また手軽にお家でのほうじ茶を作る方法を紹介します。

ほうじ茶とは「煎茶や番茶などを強い火で焙って製造したもの」

ほうじ茶とは煎茶や番茶などの茶葉を焙(ほう)じて飲用する緑茶にあたります。強い火で焙じることから、抽出液は赤茶色となり芳ばしい香りが立つという特徴をもっています。二次加工品に分類され、焙じることで茶葉に含まれるカテキンやカフェインが減少し、子供や年配の方でも気軽に飲める飲料です。
出典:公益社団法人日本茶業中央会 https://www.nihon-cha.or.jp/pdf/hyoujikijyun.pdf

ほうじ茶の原材料

一般的には煎茶や番茶などを使用

ほうじ茶を作るには、原料となる茶葉がまず必要になります。一般的には煎茶や番茶などを使用しますが、近年ではかぶせ茶や玉露などを原料にしているほうじ茶もあります。

茎の部分を使用

「雁ヶ音ほうじ茶」や「加賀棒茶」では、茎(かりがね)の部分を使用してほうじ茶を製造しています。葉に比べ一層まろやかな香りがするのが特徴です。

葉の部分を使用

「ほうじ煎茶」では葉の部分を使用しています。上質なほうじ茶はあまく独特の香りがします。「名古屋ほうじ茶」は、複数の葉をブレンドして焙じているのが特徴です。

葉と茎を使用

「京番茶」は、茎ごと摘んだ茶葉、すなわち葉と茎の部分を使用しています。スモーキーな薫香がするのが特徴です。

ほうじ茶の焙煎方法

焙煎方法

焙煎といっても焙煎方法はさまざまです。低温でじっくりと焙煎、高温で一気に焙煎など焙煎方法の違いにより、完成するほうじ茶も様々な特徴が現れます。

低温でじっくり焙煎

原料となる茶葉の特徴を残しつつ香ばしい香りが現れてきます。
焙煎で高級茶や特徴の強いお茶の特徴を際立たせたいときや、後味のコクを出したいときは低温での焙煎がおすすめです。

高温で素早く焙煎

高温で焙煎することにより、雑味を減少させ、香ばしい香りが際立ってきます。
軽やかな香ばしい香りとスッキリとした味わいを出したいときは高温での焙煎がおすすめです。

焙煎による茶葉の変化

焙煎による加熱で茶葉自体や茶葉に含まれる成分にも変化が現れます。

茶葉の変化

茶葉を高温焙煎することで、茶葉の葉脈や茎がぷっくり膨れます。このため焙煎後の茶葉は焙煎前に比べ、全体的に大きくなります。

成分の変化

強い火で焙煎すると茶葉中のカフェインが減少し、子供やご年配の方でも気軽に飲めるようになります。また、茶葉中にピラジンという香気成分が生成され、ほうじ茶特有の芳ばしい香りのもとと なります。

ほうじ茶の作り方

フライパン

家庭でほうじ茶作りをする際に最もお手軽なのがフライパンでのほうじ茶作りになります。ただし油の匂いが茶葉に移りやすいのが欠点です。

茶葉を投入

冷えたままのフライパンに茶葉を投入し、じっくりと弱火で火を通します。しばらくすると茶葉から芳ばしい香りが出てきますので、焦げないようにフライパンを回したり、菜箸やしゃもじでかき混ぜましょう。

茶葉を加熱

ほうじ茶の香りが広がってきたら、強火に切り替えてお好みの焙煎具合で火を止めましょう。少し早めに火を止め、予熱で仕上げるイメージにすると失敗(焦げ)しにくくなります。

粗熱取り

火が通れば、バットやお皿に茶葉を移して粗熱を取り完成です。

土鍋

フライパンの次に家庭でほうじ茶作りに向いているのが土鍋になります。フライパンに比べ重たく扱いづらいですが、油の匂い移りが少なく、焙煎香が際立つようになります。

撹拌が大切

作り方はフライパンでの作り方と同様ですが、フライパンと違い土鍋を回すことは難しいので、菜箸やしゃもじでかき混ぜることを意識しましょう。

焙烙(ほうろく)

焙烙とはほうじ茶の焙煎のための調理器具になります。ほうじ茶の他にもゴマなどの焙煎にも使えます。フライパンや土鍋よりも専門性のある調理器具ですが、一般的に所持している方は少ないと思いますので、新たに購入する必要があります。

火の通りを均一に

焙烙の中に茶葉を入れ、直火にかけます。焙煎の目安としては1~2分ですが、時々焙烙をゆすって、火の通りが均一になるように注意しましょう。熱が内側にこもるため、火の通りがよくなり、不慣れな方でも簡単に扱えます。

焙烙の種類や注意点

焙烙は土鍋のように直火での焙煎になります。種類によっては取っ手のところが熱くなるので、取扱には注意しましょう。フライパンや土鍋に比べ一度に焙煎できる量が少ないので、短時間での焙煎が出来ます。また、急須機能を持つ焙烙もあるので、焙煎後すぐに飲むこともできます。

電子レンジ

電子レンジでも簡易的なほうじ茶を作ることができます。ただしあくまで簡易的な作り方なので、本格的なほうじ茶を楽しみたい方はフライパン、土鍋、焙烙での製造をおすすめします。

加熱の目安

耐熱皿の上にクッキングシートを引き、その上に茶葉を均一にひきます。その後600Wで8分程度を目安に加熱します。

出来上がりの特徴

上記にて簡易的なほうじ茶の完成になります。加熱前に比べ少し芳ばしい香りがするかな~ぐらいなので、ご注意ください。

オーブン

最後にオーブンでのほうじ茶作りのご紹介になります。オーブンでほうじ茶を作る際のメリットは均一に火を入れることができることです。ただし、数回に分けて火を入れる必要があるので、少し手間はかかります。

焦らず数回に分けて

クッキングシートの上に茶葉を均一にひき、数回に分けて加熱します。最初は低温で加熱し、徐々に設定温度を上げていきましょう。また、1回の加熱は5分~10分程度以内にし、数回に分けることを心掛けましょう。

ほうじ茶作りのポイント・注意点

一般家庭でほうじ茶作りにチャレンジする際でのポイントをご紹介します。

家で余ったお茶を使おう

家でほうじ茶を作る際には、慣れないはじめのうちは家で余っているお茶を使いましょう。高級な茶葉を使っても問題はないですが、黒焦げにしたらもったいないだけです。何回かほうじ茶作りに挑戦して、慣れてきたら自分好みの茶葉を焙じてみましょう。

急がずじっくりと

じっくりと茶葉全体に火が通るように加熱しましょう。芳ばしい香りが立ち込めてきたらあとはお好みの焙煎具合まで加熱しましょう。いきなり高温で加熱すると黒焦げになる事もあるので、じっくりと加熱しましょう。

茶葉の種類で火の通り方は違う

茶葉といっても、葉の部分や、茎の部分、また粉などいろいろと分かれます。それぞれの火の通り方が違うので、注意しましょう。家では葉と茎の分別は難しいと思うので、ザルや茶濾しなどで事前に焦げやすい粉を抜いておくと、失敗しにくくなります。

ほうじ茶の淹れ方

急須を使った淹れ方

ほうじ茶を急須で美味しく入れるコツをご紹介します。お湯の温度、茶葉の量、抽出時間の3つに 注意すれば簡単に美味しいほうじ茶を飲むことができます。

お湯の温度は100℃。

ほうじ茶の特徴といえば芳ばしい香りとすっきりとした飲み口になります。香りが立つようにお湯の温度は100℃にし、急須の中の茶葉にあてるように注ぎましょう。煎茶などは熱湯で淹れると苦味や渋み成分が出てしましますが、ほうじ茶はもとからそれらの成分が少ないので、苦味、渋みが気になることはありません。

茶葉の量は3~4g(一人分)

ほうじ茶を淹れる際、茶葉は一人分につき3~4gを目安としましょう。お好みで増やしたり減らしたりしても問題はありません。ほうじ茶の茶葉はかさが大きく、軽いので煎茶などを淹れるときに比べると茶葉の量が多く感じますが、しっかりと3~4gの茶葉を急須に入れましょう。

抽出時間は30秒

ほうじ茶を淹れるときは30秒を目途にしましょう。熱湯で淹れるため茶葉に含まれる成分がすぐに溶け出してきます。お湯を注ぎ、フタをせずに30 秒間ほうじ茶の香りを楽しんだら湯呑みに注ぎ、おいしく頂きましょう。お好みで30秒以上の抽出時間でも問題ありませんが、苦味、渋み成分もやや溶け出してきますので、注意しましょう。

やかんを使った淹れ方

暑い夏や、家族でのご飯時などにまとめてほうじ茶を作る場合、急須では手間が掛かってしまいます。その際にはやかんでまとめて作る方がおすすめです。ただし、ほうじ茶本来の美味しさを求める場合は急須で淹れましょう。

お湯の量1リットルに対して茶葉の量は10gを目安にする

やかんでほうじ茶を作る際も大切なポイントは急須で淹れる場合と同じです。お湯の量1リットルに対して茶葉の量は10グラムを目安にします(3リットルなら30グラム)。

やかんでお湯を沸騰させてから火を止め、茶葉を投入

30秒経過したら、茶葉を濾して完成

茶葉を煮出さないように注意

茶葉を煮出してしまうと苦味、渋みが抽出され、ほうじ茶の風味を損ねる恐れがあります。また、茶葉を濾すのは手間がかかるので、市販のパックなどに茶葉を入れると後が楽です。

暑い夏におすすめ水出しほうじ茶

暑い夏には冷えた美味しいほうじ茶がぴったりです。手軽に作ることができるので、ご紹介します。

ボトルや、やかんなどに冷水を入れ、冷水100mlに対して茶葉1グラムを入れます

冷蔵庫で1時間程度冷やせば、簡単水出しほうじ茶の完成です

ほうじ茶のアレンジレシピ

ほうじ茶ラテ

スターバックスやコンビニなどでよくみかけるほうじ茶ラテ。自分で作ったほうじ茶で、美味しく作りましょう。

ほうじ茶を使ったスイーツ

クッキーやプリン、ゼリー、アイスクリームなど自宅で簡単に作れるスイーツにほうじ茶を混ぜるだけで、香り豊かなほうじ茶スイーツが出来上がります。抽出液(ほうじ茶)や茶葉を生地に混ぜ込むだけでほうじ茶スイーツが出来上がります。

茶香炉(ちゃこうろ)

ほうじ茶は飲料やスイーツ以外にも活用方法があります。忙しい毎日を過ごす現代人にとって、ゆとりを持つことは大切であり、茶葉がゆとりを演出してくれます。茶香炉とは茶葉に熱を加え、香りを楽しむものです。ほうじ茶の芳ばしい香りが部屋に広がり、気分をリラックスさせてくれます。また、ろうそくで茶葉を加熱するため、ろうそくの温かい光がより一層のリラックスを演出してくれます。広がった香りには部屋の消臭効果も期待できます。

他の茶種

今回、ほうじ茶のアレンジレシピをご紹介しましたが、煎茶や玉露などを使ってもアレンジメニューとなります。この記事を読んでいただいた皆様が少しでもほうじ茶をはじめとする日本茶に興味をいただけたらと思います。